三河弁講座初級編


三河地方にやってくるとよく耳にするのが「じゃん」「だら」「りん」 これが三河弁の特徴です。
もうひとつ「のんほい」というのがあります。
前者3つは老若男女問わず使われています。
後者については、豊橋総合動植物園のまたの名を「のんほいパーク」というほど東三河の三河弁の特徴ではあるのですが、 いまでは若い世代ではまったく使われていません。

この初級編では、これらを含めた三河弁の代表的なものを紹介、解説していきます。

 

〜じゃん

「〜じゃないですか」ぐらいの意味でしょう。
「〜じゃんねぇ」で「〜だよ」というような意味で使うこともあります。
全国的に使われていますが、うわさでは、岡崎出身の三河弁をしゃべる徳川家康が江戸に持っていったとかいかないとか。
<例>
・その服似合うじゃん (その服似合うじゃないですか)
・別にいいじゃん (別にいいじゃないですか)(別にかまわないじゃないですか)
・今日あの人に会ったじゃんねぇ。そしたらさぁ・・・ (今日あの人に会ったんだよ。そうしたら・・・)

〜だら

「〜でしょう」ぐらいの意味です。
語尾が上がる場合と下がる場合があります。上がる場合は「〜だら」と語尾は伸ばさず、下がる場合は「〜だらぁ」と伸ばします。
どちらとも基本的に意味は同じなのですが、なんとなくニュアンスが違う気がします。
語尾が下がる方が言葉の内容に対する確信の度合いが強いように感じます、個人的には。
「だ」の抜けた「〜ら」を使うこともあります。意味は同じです。西三河ではこちらが主流のようです。
ただし、動詞の後に付くときは「〜だら」でも「〜ら」でもいいのですが、名詞の後に付くときは「〜だら」に限られます。
<例>
・明日、遊びに行くだら (明日、遊びに行くんでしょう?)
・この消しゴム、あんたのだら (この消しゴム、あんたのでしょ?)

〜りん

「〜しなさい」という意味です。命令ですが、「〜しなさい」より弱い命令です。
「〜じゃん」とか「〜だら」とかそのあたりに比べて音的にきれいでかわいいから好き、という声もちらほら聞きます。
<例>
・早くご飯食べりん (早くご飯たべなさい)

のん

「ねぇ」ぐらいの意味ですかねぇ。呼びかけに使ったり、同意を求めるのに使います。
<例>
・今日はいい天気だのん (今日はいい天気ですね)
・のん、これ見てみりん (ねぇ、これ見てみて)

ほい

「おい」とか「やぁ」とかそのあたりだと思います。
「おい」がなまって「ほい」になったというあたりが妥当な線でしょうか。
<例>
・ほい、元気にしとったかん? (おい、元気にしていたか?)

のんほい

「のん」と「ほい」がくっついたものです。意味・用法は「のん」と同じですが、 「ほい」が付いたぶん、「のん」の意味が強調されている気がします。
語尾に付く場合、「〜だのん、ほい」と区切って言うことのほうが多いです。

〜かやぁ

「〜だろうか」というような意味です。
独り言っぽく使います。
<例>
・あの本どこにやったかやぁ (あの本どこにやったのかなぁ)

〜だに

「〜だよ」という意味です。
<例> ・今日こんなに宿題があるだにぃ。 (今日こんなに宿題があるんだよ)

〜だで、〜だもんだい、〜だもんで

3つとも「〜だから」という意味です。
単体で接続詞としても使えます。
「〜だもんだい」はちょっときつい言い方でしょうか。
<例>
・友達ん家に行くもんで晩御飯いらんでね。 (友達の家に行くから晩御飯いらないからね)
・そういうことしとるもんだい怒られるじゃん (そういうことしているから怒られるんだよ)

〜まい

「〜しよう」という意味です。
使い方は、「向こうに行こう」を例にとると、
1.向こうに行かまい
2.向こうに行くまい
3.向こうに行こまい
と3通りあり、どれでも通じます。豊橋では1や2が主流でしょうか。

おいでん

「来て」とか「おいで」という意味です。
どの市だったか忘れましたが「おいでん祭」というお祭りがあります。
<例>
・こっちにおいでん (こっちに来て)

えらい

副詞として使うと「とても」という意味になります。
形容詞としてなら「しんどい」というような意味になります。
ただし、「えらいえらい」とは使いませんのであしからず。

鍵をかう

「鍵を掛ける」という意味です。
初めて聞く人は必ずといっていいほど「鍵を買う」と間違えるそうです。

けったー

自転車のことです。けったマシンともいいます。
「マシン」をつけるときは「けった」と「た」を伸ばしません。
自転車をこぐことを「けったくる」といい、そこから「けったくるマシン」→「けったマシン」→「けったー」と 変化したものと思われています。

でんしんぼう

電柱のことです。
この近辺の人たちはこれが標準語だと信じています。

「とても」という意味です。
「えらい」はお年寄りしか使わなくなってますが、「ど」は若者もよく使います。
<例>
・ど嫌 (とても嫌だ)

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